
こんな悩みにお答えします!
- 行動食ってなに?
- 行動食ってどんなもの?
- 登山に必要なカロリーとその計算方法
- どんなナッツが登山に向いている?
- 登山に必要な栄養素
- 登山に持っていきたいナッツ3選
- 登山にぴったり!手作りナッツ行動食レシピ
- ナッツを持って登山へ行こう!
栄養士として病院で働き、退職後ナチュラルフードコーディネーターの資格を取得。
海外の食品やオーガニックフードをもっと知りたいと思い、現在はオーストラリアでのんびりと生活しています。

ナッツは「天然のサプリメント」と呼ばれ人気が高いスーパーフードです。これまでナッツはいろんなかたちで私たちの暮らしの中に溶け込んできました。ワインや日本酒などのおつまみ「ミックスナッツ」。一方で自然災害時の「非常食」として見直されています。また登山やトレッキングでは気軽な「行動食」として携帯する人も多いようです。今回はなぜ登山にナッツを持って行くのか?その理由やおすすめナッツ、簡単なナッツレシピをみていきます!
行動食ってなに?

行動食って知っていますか?
実は誰もが1度は食べたことがあるもの。気軽に買うことが出来て気軽に食べられる便利な食べ物、それが「行動食」です。
例えば、地震や台風などの自然災害時に必要となるのが「非常食」、よくコマーシャルなどで見かけるシチュエーションで仕事や勉強などで小腹が空いたときに食べるシリアルバーなどは「携帯食」「携行食」、そして登山など野外活動ときに携帯する食料を「行動食」と言います。
「何時(いつ)」「何処で」使うか、食べるかによって名称も変わります。これらを総称して「行動食」と呼んでいます。「行動食」と言っても決まりがあるわけではありません。しかし、最低限「行動食」はこんなことを言いますというものがあるようです。
行動食ってどんなもの?

「行動食」と言ってもコレだ!と言う決まりや基準はありません。
それでは「行動食」にはどんなことが必要になるのでしょうか?
栄養があるもの

栄養のバランスが摂れる!
私たちが日々の生活や活動に欠かせないエネルギーとなっているのが「タンパク質」「脂質」「糖質」です。いくら健康に良いものをたくさん食べていても栄養が偏っていては健康とは言えませんね。栄養価が高いことが重要です。
調理不要

そのまま食べられること!
災害時は避難所生活でガスが使えない場合もあり、野外では火災の恐れがあるという理由から調理ができない場合もあります。また時間のないときはそのまま食べられものが便利です。
※火を使うものでも「行動食」になるものはたくさんあります。時と場合にもよります。
携帯性

小さくて軽い!
野外に持ち出す場合、大きさや重量も大切です。重かったりかさばったりすると不便を感じ、登山の時は体力を使うと言います。出来るだけ体力の消耗は避けたいものです。重いものかさばるものは控えることを心がけます。小さくて軽いものを選びましょう。
保水性

登山をする上で水分はとっても重要!
「適度な水分が含まれているもので、食べて喉が渇くものは控えましょう」がベストです。水分を控えすぎると脱水症状になる危険もありますが、場所によってトイレ事情が良くない場合もあります。なので難しいですが、登山中は出来るだけ水分が多すぎず少なすぎないものがおすすめです。
登山は非常に多くのエネルギーを消費します。エネルギーを消費し、低血糖になると集中力が切れてしまい、転倒事故などから大怪我や死亡事故に繋がることもあります。なので、十分な栄養が必要とされます。
登山では「シャリバテ」と言うものがあります。
登山では気がつかないうちにお腹が減ってしまい、フラフラして気分が悪くなりお腹が減っているのにものが食べられなくことがあります。このようなことが起こらないように知識と備えが必要になります。
登山に必要な栄養素

ナッツはカロリー数が高い食品ですが、登山ではたくさんのカロリーが必要です。ナッツに共通しているのが高たんぱく、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれているところです。登山で必要とされるのは炭水化物、ビタミンB1、カリウムとその他のビタミン、ミネラル全般です。
炭水化物

炭水化物は筋肉を動かすエネルギーとなるもの。
炭水化物が無くなると低血糖に陥り筋肉の低下だけではなく脳、神経系のエネルギー不足になり眠気や集中力の欠如や判断力の低下などを招く恐れがあります。
ビタミンB1

ビタミンB1は炭水化物が分解される働きを円滑にするので炭水化物といっしょに摂取したいものです。
カリウム

カリウムは心臓や筋肉の機能を調整する働きがあり、欠乏すると筋力が低下してしまいます。
その他のビタミンやミネラル

熱さによる発汗でミネラルの排出が増えると食欲不振となってしまいます。ミネラルが不足すると疲労感、倦怠感を招くと同時に激しいエネルギー代謝はビタミン、ミネラルの消費も増加させてしまいます。
登山に必要なカロリーとその計算方法

登山にはどのような栄養素が必要で、どれくらいのカロリーが必要なのでしょうか。詳しくみていきます!
カロリー消費量(Klal)=1.05×体重(kg)×METS係数×運動時間(時間)
登山でのMETS係数は2種類に分類されているので、各自登山装備により異なります。
METS係数:7.0→14.1Kg以下の荷物を背負っての登山
METS係数:8.0→14.1Kg以上の荷物を背負っての登山
※運動時間とは登山スタート時間から下山までの時間
例えば体重50Kgの人が1日(10時間)かけて富士登山に挑戦します。
背負う荷物が14.1kg以下だとすると…
必要となる総カロリー数は3,675kcalとなりました。
1日必要なカロリー数をはるかに超えていますね。
登山はそれだけ体力を消耗する。だから栄養も必要になります。
この計算から、ナッツに照らし合わせてみるとナッツは高い栄養価、カロリーが取れて軽量でかさばらないので、ナッツは行動食にピッタリの食品なのです!
どんなナッツが登山に向いている?

まずはカロリーと主な栄養価です。
【ナッツの種類別カロリー・栄養価】
100g(可食部) | エネルギー(kcal) | 炭水化物 | 脂質 | タンパク質 |
アーモンド | 587kcal | 20.9g | 51.8g | 19.6g |
くるみ | 674kcal | 11.7g | 68.8g | 14.6g |
ヘーゼルナッツ | 684kcal | 13.9g | 69.3g | 13.6g |
カシューナッツ | 553kcal | 30.7g | 43.85g | 18.22g |
マカダミア | 718kcal | 13.82g | 75.77g | 7.91g |
ピスタチオ | 562kcal | 27.51g | 45.39g | 20.27g |
ピーナッツ | 562kcal | 18.8g | 47.5g | 25.4g |
栄養価がわかったところでナッツ別1日の摂取量はどれくらいでしょうか?
アーモンド25~30粒
クルミ6~7粒
ヘーゼルナッツ 20粒
カシューナッツ 10粒
マカダミアナッツ5粒
ピスタチオ 45粒
ピーナッツ30粒程度
但し、登山の場合は日常生活と異なった環境や状況にいます。なので普段よりも少し多めの量でも構いません。
またミックスナッツの場合は1日約25gが目安です。
アーモンドとクルミが7割、その他好みを残り3割を加えてブレンドしてください。
またドライフルーツやチョコチップを加えると飽きの来ない味に仕上がります。
登山に持って行きたいナッツ3選!

それではどんなナッツが登山に向いているのでしょうか?登山をするときにぴったりなナッツを3つみていきましょう!
栄養価文句なし!マカダミアナッツ

ハワイ土産のテッパン、マカダミアナッツチョコレートでおなじみのマカダミアナッツは登山に必要な栄養素をすべてもっている優れもの。もう何も説明が要らないっていうくらいナッツの総合栄養食です!
代表的なナッツの中ではカロリーも高いのですが三大栄養素の他に、ビタミンB群、ビタミンE、カリウム、マグネシウム、鉄、食物繊維などが含まれています。
1日に必要な栄養素の多くが含まれています。
エネルギーチャージにはカシューナッツ!

カシューナッツには糖質をエネルギーに変えるビタミンB1が多く含まれています。
登山は体力勝負!しっかりとエネルギーチャージが必要となります。カシューナッツはナッツの中では比較的柔らかいので硬いナッツが苦手な方でも食べやすいナッツです。
疲労回復に効果あり!クルミ

クルミにはビタミンB1、ビタミンB2や葉酸、ナイアシンなどの疲労回復に欠かせないビタミンB群が多く含まれています。また、くるみにはたっぷり脂質が含まれていますが主に不飽和脂肪酸が豊富で、良質な脂質をとってエネルギー源にするにはぴったりです!
どのナッツも高い栄養価が特徴ですが、ここで気をつけたいのがナッツアレルギーです。
アレルギーはどんな食物でも起こる可能性があります。少しでも違和感があれば自己判断はせずに医師及び医療機関に相談するようにしてください。
ナッツアレルギーとは

重篤なアレルギーを起こすために、恐れられているのがナッツアレルギーです。
ナッツ及びピーナッツアレルギーは比較的重篤で発症率も年々増加する一方です。
アレルギー症状で思い出すのがアナフィラキシーショックですが他に以下のような症状があります。
・口や唇、喉の痒み
・皮膚の痒みと乾燥
・発疹
・じんましん
・腹痛、下痢
・吐き気、嘔吐
※厚生労働省アレルギー物質を含む食品に関わる表示義務により以下のものが示されています。アーモンド、クルミ、ヘーゼルナッツ(はしばみ)、カカオ、ピーナッツ、ブラジルナッツ、カシューナッツなどが適応となります。
また花粉症がある人が気をつけたいのがヘーゼルナッツ(はしばみ)です。
カバノキ科:ハンノキ、シラカンバの花粉症のある人は同じカバノキ科のヘーゼルナッツには注意してください。
登山にぴったり!ナッツの行動食レシピ

ナッツによく合う食材といえばチョコレートですね。その他ドライフルーツや黒糖などを使ったものもあります。そう言えばナッツを使った「行動食」ってたくさんの種類がありますよね。
コレ、自分で作れたらいいのにと思いませんか?
今回はお家でも簡単に作れるナッツレシピをシェアしちゃいます!
好みのナッツ 60g
薄力粉 200g
ベーキングパウダー 小さじ2
黒糖 大さじ1
無塩バター 50g
牛乳 100㏄
1.薄力粉、ベーキングパウダー、グラニュー糖にバターを加え混ぜ合わせる。
2.好みのナッツを加えたら牛乳を加え混ぜ、生地をまとめ冷蔵庫で休ませる
3.厚さ2.5㎝にのばしたら丸型で抜く。
4.190℃で約20分焼く
薄力粉 200g
無塩バター 100g
生クリーム 大さじ2
黒糖 100g
卵 1個
好みのナッツ 約100g
1.ボウルに無塩バターを入れたら泡だて器で白くなるまで混ぜる
2.三温糖を2~3回に分けて混ぜ、卵を少しずつ加え混ぜる。
3.生クリーム(牛乳でもよい)を加え混ぜたら、薄力粉を加え混ぜ合わす。
4.好みのナッツ(半分をチョコチップに変えてもいい)を加え軽く混ぜる。
5.クッキングシートを敷いた天板(オーブンシートを敷いた)にスプーンを使って生地を落として180℃のオーブンで15~20分焼く
好みのシリアル 200g
好みのナッツ 60g
黒糖 80g
はちみつ 大さじ4
バター 大さじ2
1.それぞれ湯煎で溶かしたバターと蜂蜜を合わせ黒糖を加える
2.シリアルとナッツを加え混ぜ合わす
3.型に入れて空気が入らないように強く押し固める
4.180℃のオーブンで約10分焼く
※シリアルが甘い場合砂糖の量を調節してください。
※食物アレルギーのある方へ
このレシピはアレルギー物質の無い米粉、豆乳などでも代用できます。
但し仕上がりや食感が少し違ってくるかもしれません。
※砂糖は黒糖以外にも三温糖やお好みの砂糖を使っても出来ますが、風味に違いが出ます。
ナッツを持って登山へ行こう!

ナッツは種類によって効果効能に違いがあり、ナッツごとに様々な効果効能を得ることが出来るスーパーフードですが知れば知るほど驚くことばかりです。登山にナッツを持って行くのは美味しいからだけではなく、小さなからだに驚くほどたくさんのパワーを秘めているからなのですね。みなさんもぜひ登山に行く際にはナッツを持っていてくださいね!
「登山にはどんな食材を持っていけば良い?」「登山に必要な栄養素って何だろう?」「登山におすすめのナッツを知りたい!」